《身体の軸把握は、日本人のお家芸》
                                          日本人の身体観とタオ

 

 人は
 欲に従えば破綻し、
 快に従えば成就する
      (『タオの法則』⑪)

 

 これは、人間の幸不幸を決定するほどの大切な法則ですが、欲に振り回されるのは、人間本来の快が閉ざされているからです。快感覚は本来、人間をあるべきルートへと導きます。しかし、本来の快感覚が失われると、このセンサーが狂います。老子は、快感覚通りに生きるあり方をタオと言い、そこから外れたあり方を有為と言います。人間本来の快感覚は、誰でも開くことが可能で、その基礎は体にあります。体の中でも、その中枢こそがタオの幹、すなわち、体軸にあります。その成立は、性エネルギーの成就をも意味します。

 私は、古代日本人は、この原理を知っていたと思っています。
 縄文人は、存在の軸や中心を重視し、人々は住居の中心に立石や炎を拝しました。存在の中心には霊性の中心たる軸が宿るという世界観です。そこには、非常に宇宙的な観点がみてとれます(詳細は『和の心』徳間書店)。立石は、男性器の形のものが多く、この住居の中心たる性エネルギーという構図は、人体の中枢たるタオの幹という人体の構造と酷似しています。中国少数民族の中にもこれと類似した世界観がみられ、老子は、この中国大陸の先住民文化をモデルにしています。
 日本古来の宗教舞踊には、身体の軸に霊性をみる身体観がみてとれます。日本人が神を『柱』と表現してきたのも『軸』への崇敬心にあり、人間自身に尊い霊性の軸が存在するという人間観が日本人の人間観の根底にあります。
 身体の軸をいかに把握するか、この伝統が、様々な文化に影響を与え、日本文化には、軸の把握は精神の把握に通ずるという暗黙の了解があります。茶道や弓道など、様々な『道』のつく文化に正座が重んじられてきたのも、この認識によります。和学の会では、この軸なるものを、いかにしたら把握できるのか、そしてそれが心の世界にどう結び付くのかを、日本の伝統を大切にしながら、明確に、具体的に伝えています。
 茶道・弓道・書道など、日本の文化に『道』がつくのは、老花の道に由来しています。軸の原理は本来、人間そのものの原理であり、体軸への認識は自然発生的に生じますので、どこの国で生まれたものと特定できるものではありません。
 人間の体には、実に宇宙的な原理が働いており、その把握は宇宙そのものの把握に通じます。中国の道教の中にも軸の概念はありますが、軸の概念そのものは日本の方が古い歴史が認められ、おそらく世界で最初に軸概念を構築したのは、日本人の祖先です(詳細は『和の心』を。中国大陸先住民の世界観の本家は、私たち日本人の祖先なのです)。
 ですので、軸の把握というものは、日本人にとって『お家芸』のようなものなのです。
 和学の会では、日本の伝統的な体軸の把握を大切に、本来、理論的に伝えられていなかった日本人の身体把握を理論的に伝えています。体軸を把握すると、老荘の深みも真に理解できるものなのです。

 

 

 

《自宅で学習するには》

 

 和学教室などへの参加が困難な人には、自宅でも学べるDVDとして、『タオの宇宙を極める《身体原理論》』があります。

 和学教室に参加される場合も、毎回その原理を説明するわけではありませんので、ご参加される方も『タオの宇宙を極める』DVDをご覧いただくことをお勧めします。

  ただし、上記DVDは原理的説明のDVDであり、具体的に実行したいという人には、下記のDVDがお勧めです。軸というものは、リラクゼーションが成立しなければ成立しません。わの舞主体のDVDではありますが、リラクゼーションの実現、体質の改善には、この『楽園の舞』DVDの中にある《リラクゼーション》の誘導が有効です。一定期間続けると脱力のコツがつかめます。かなり年配の方でも、毎日寝る前に実行して一年経たないうちに見違えるように若返った方がいます。